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AIH:治療上の問題

 

 わが国の診断指針,治療指針および国際基準にも記載されているように副腎皮質ステロイドが本症には著効を示す.AIHにおける病態形成が異常な免疫反応である自己免疫機序に依っていることを考えれば免疫抑制剤が効果を示すのは当然だが,特異的な免疫療法が存在しないことをも示している.この事実は他の自己免疫病患にもあてはまるが,副腎皮質ステロイドの投与により良好な経過が得られるため,さらなる選択治療法の問発の必然性が強くないことも新たな治療薬開発が低調である要因となっている.臨床的には現時点では診断が確定したら副腎皮質ステロイドを投与することとなる.わが国での全国集計では副腎皮質ステロイドの有効率は89%であるとされている.しかし,有効性が確認されなかった症例のほとんどが初期投与量30 mg以下であるか,あるいは初期投与量は十分量であったがその後減量が早過ぎて有効との判定が不可能となった症例である.すなわち,初期に十分量の投与を行い,かつ慎重な減量を行えばほとんどの症例は良好な経過を示すと考えられる.しかし,稀に副腎皮質ステロイドの治療効果が十分得られない症例も存在する.筆者らの経験ではアザチオプリンを併用することによりこうした副腎皮質ステロイド抵抗

性症例に対応可能である.欧米では副腎皮質ステロイドの長期投与による副作用が大きな問題となっているが,わが国においては治療が困難となる症例はそう多くない.また,減量あるいは離脱後の再燃も欧米で報告されているような重篤例は少ないようである.この要因としてはわが国には欧米で第一の疾患感受性遺伝子とされるHLA-DR3を保有するAIH症例が皆無であり,また若年症例が少ないなどが考慮されるが,詳細については今後経過を含めた全国集計により明らかにされることが必要であろう.一方, AIHと診断されたにも

関わらず,血液生化学所見がmildな症例もわが国では認められる.血液生化学所見がmildであっても,組織学的には活動性を示すことが少なからずあり,こうした症例では当然副腎皮質ステロイドの適応となる.胆汁酸製剤であり,原発性胆汁性肝硬変の生化学所見を改善することが知られているursodeoxy-cholic acid (UDCA)がAIH特に軽症例AIHに効果を示すことが報告されている.事実全国集計でもUDCAにて治療され,有効性が確認された症例も少なからず認められる. AIHに対するUDCAの作用機序の詳細は不明であ

るが, UDCAは多くの免疫調節作用を有することが明らかにされており,今後新たな治療法としての検討が期待される.

 

 わが国ではC型肝炎ウイルス血症を伴うAIH症例が存在することから,これら症例に対する治療法決定が重要である.令国集計での治療成績から,インターフェロン治療は必ずしも禁忌ではないことが明らかにされている.対処の詳細についてはあらたに示された治療指針に述べられているので参照されたい.