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AIH:臨床的問題点

 

 

 AIHは従来juvenile cirrhosis と呼称されたことからも明らかなように炎症の活動性が高く,進行性の強い慢性肝炎である.欧米では診断時に肝硬変となっているものが30%以上を占めるとされている.しかし,わが国の全国集計によると,診断時,肝硬変とされたものは10%である.この相違が疾患感受性遺伝子背景の差異に関連するのか,あるいは他に要因があるかは現在明らかではない.わが国では診断指針に抗核抗休の陽性所見が記載されているため90%以上の症例が抗核抗休陽性である.全国集計の成績によると抗核抗体

陰性でAIHと診断された症例は27例5%にすぎず,そのうち67%は抗平滑筋抗体が陽性であった.抗平滑筋抗体陽性で抗核抗体陰性症例の診断時血清酵素は抗核抗体陽性に比し高値であることが明らかになっている.

 

しかし,その他には4型と抗核抗体陽性の1型の差異は認められず,分類の意義は明らかでない. LKM抗休が陽性の2型,C型肝炎ウイルスマーカーが陽性を示すいわゆる2b型はともにわが国では報告が少ない.また, SLA抗体が陽性である3型は検討例が少なく断定はできないものの,わが国では稀のようである.

 

 わが国ではC型肝炎ウイルス感染とAIHの関連が臨床的に重要な間題となっている. AIHの診断にあたっては原則的に既知の原因を有する症例は診断から除外される.この点からすれば,C型肝炎ウイルス感染が明らかな症例はAIHの診断から除外されるのが妥当である.しかしながら,わが国にはC型肝炎ウイルス感染を伴うAIIIが存在することが確認されている.全国集計によるとAIHの約!O%がC型肝炎ウイルス血症を伴うAiHとされている.臨床検査ではC型肝炎ウイルス症の有無で差異は認められていない.

 

 AIHには病患感受性遺伝子が存在し,欧米ではHLA-DR3カマ,わが国ではHLA一一DR4がそれぞれこれにあたることが示されている.興味あることに, HLA-DR4は欧米での第二この病患感受性遺伝子であることが報告されており1へHLA-DR4陽性の欧米症例はわが国同様,中高年女性に多く,また,疾患活動性もHLA-DR3陽性者に比しmildである.HLA-DR4が病患感受性遺伝子として仏 HLA-DR4を保有する個人がAIHを発症するわけではない. AIHの発症にはHLA一一DR4に連鎖不均衡にある他の遺伝子あるいは,環境因子の存在を考慮する必要がある.

 

 わが国では上述のように中高年者の発症が多く小児例の報告は少ない.また,高年発症例は増加していることも報告されている。 これら特徴的な所見の要因に関ずる更なる検討も今後重要である.