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小柴胡湯/C型肝炎

 

 1.肝保護作用と線維化抑制作用

 

 慢性肝炎から肝硬変への進展を抑制するためには,肝壊死と線維化を軽減することが重要である.そこで,四塩化炭素やジメチルニトロサミンなど肝毒で誘発したラット障害肝,線維肝モデルを対象に,小柴胡湯の効果を検討した.本剤投与により,肝障害および線維化の程度は抑制されたが5),線維化抑制作用に関しては肝保護作用の二次的影響である可能性も否定できない.

 

 2.肝再生促進作用

 

 慢性肝疾患の病態は,肝障害,線維化と肝再生のバランス下に成立する.小柴胡湯の肝再生に対する影響をラットの70%部分切除肝を対象に検討した.本剤には肝再生促進作用が認められたが,肝再生過程に必須のポリアミン類の変動を検討した成績から,その作用点はG1後期と推定された。 このような作用点を有する再生促進因子は他に類がなく,注目に値する.

 

 3.免疫系および発癌に対する作用

 

 小柴胡湯がウイルス学的にも効果を発揮するためには,免疫調節作用を有することが望ましい.免疫担当細胞の中では,クッパー細胞および肝マクロファージは機能亢進,機能低下とも肝病態の成立に影響することから,これに注目して検討した.その結果,ノjヽ柴胡湯はこれら細胞に直接作用し,過貪食による活性不全の進行を抑制するととが明らかとなった。肝硬変では肝マクロファージ機能が低下していると推定され,慢性肝疾患患者に小柴胡湯を投与することは,ウイルス学的改善のみならずエンドトキシン血症や肝細胞癌発生の抑制にも繋がる可能性があろう.また,小柴胡湯はC型慢性肝炎患者において低下している末梢血単核球のIL-1産生能を回復させることが報告され8),この作用を介して肝炎活動性を低下させている可能性もある.

 

 一方,小柴胡湯肝細胞癌由来の培養細胞株のアポトーシスを誘発することも知られている9).本剤は免疫調節作用を介さずに,直接肝細胞癌発生を抑制している可能性も否定できない.