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ナノ粒子―化粧品と医療品の効果増強

 

 ロレアル社とランコム社でもナノ粒子をスキンクリームとヘアコンディショナーに使用している。ナノテクでクリームの浸透の深さを決めるために粒子の微小なサイズを正確に制御でき、ナノ粒子の物理的組成によって、汚れや油分の除去、皮膚や毛髪の湿潤化を含む個別の作業を、正確に行うことができる。このような間発の効果は200億ドルの化粧品産業において、すでに実感されている。

 

 メリーランド州コロンビアにあるノパパックス(Novavax)社は、ナノ粒子技術を用いて皮膚吸収性のエストロゲンローションを開発しているが、それは更年期の女性のほてりやその他の症状を軽減する。このローションは、米国で10億ドル近くの売り上げがあり、処方箋の数で第3位の薬であるプレマリンを代替することができるかもしれない。もしナノ粒子を用いて開発されたローションがこの薬の代替になったら、医薬品産業全体がそのビジネスのかなりの部分を再検討する必要があるだろう(付記すれば、プレマリンはその名称を主原料からとっているのだが、それは妊娠しているウマの尿であり、ウマの処置を間題にしている動物愛護家によってしばしば非難されている。このことは、ナノテクノロジーが、より効果的な製品に加えて、こうした問題でも魅力のある治療法を消費者に提供できることを示している)。

 

 カンザス州マンハッタンにあるナノスケールーマテリアルズ(Nanoscale Materials)社は二つの新しいナノ結晶を用いた製品を発表した。一つはスキンクリームで炭そ菌やその他の化学薬品から守る効果をもっている、もう一つは噴霧するタイプの器具で、炭そ菌と結合して(内容は開示されていない)無害化すると報告されている。そのような製品の有用性は、2001年秋に起こった炭そ菌によるテロの恐怖を見れば明らかである。

 

 緊急の用途は、国家安全の必要性とバイオテロリズムの脅威に関することに向けられるのだが、もしナノ結晶が炭そ菌を無害化できるのなら、ニキビや口臭のような、差し迫った用途にも使えないとはいえない。もしそうなら、ニキビクリームの5億5000万ドル市場およびマウスウォツシュの7億6600万ドル産業は、この分野の間発に遅れないようにしたはうがよい。

 

 ジェネンテック社、ロシュ 社、グラクソスミスクライン社などの大手製薬メーカーの多くが、ナノ結晶(ナノ粒子と本質は類似)を ”標識口分子として用いている。ユニークな結合性能、磁性・蛍光特性をもつ各種サイズのナノ結晶をつくった後、このナノ結晶を分子に付着させて、細胞やタンパク質が他の試薬とどのように作用するかを追跡観察する(金属の性質をもつナノ結晶を磁気センサーが追跡し、サイズの違いが色の違いに対応するように校正されているナノ結晶を、レーザーが照らし出す)。これは、複雑な細胞の変化や種々の病気に伴う現象についての觧明に応用できる。この事例は、ナノ結晶が新薬の発見および病気の早期治療に役立つことを示している。

 

 水溶性のナノ結晶は大きな粒子よりも容易に体内で溶解するので、ナノ結晶を活用することにより、医薬品が体内で吸収されて効果を発揮する時間が短縮できる。

『ナノテクビジネス指南』小林俊一監訳の著書より