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『膿胸・血胸』


膿胸

 膿胸は胸腔内の化膿性炎症により胸腔内に膿性滲出液が貯留した状態をいう。1歳未満の乳児の肺炎から急速に進展した場合が多い。原因菌はブドウ球菌によることがもっとも多く、ついで肺炎球菌、インフルエンザ桿菌などがあげられる。結核性胸膜炎は予防および抗結核剤による治療の進歩により少なくなった。肺膿瘍の胸腔内への穿破、外傷などにともなう感染、縦隔炎、腹腔内膿瘍の波及などによることもある。臨床症状は発熱・咳嗽とともに呼吸困難を認めることが多く、循環不全・ショックをきたすこともある。


血胸

 胸腔内に血液の貯留した状態を血胸という。外傷に起因することが多い。胸腔内への大量の出血は小児ではまれであるが、胸部の外傷によるもののほかに、結核や膿胸における炎症による血管の破綻により起こることがある。肺分画症・動脈管開存・肺動静脈奇形などの先天奇形、胸腔内悪性腫瘍血友病などによることもある。新生児や年長児で原因不明のもの(特発歐)もある。気胸をともなうものを血気胸という。急速な血胸の進展では血管内循環血液量の低下にともなう循環不全と貧血による症状がみられる。また、胸腔内に貯留した血液量により呼吸障害を認める。


1……診断

1)胸部X線写真:胸部X線写真により胸水の存在を確認する。

2)胸腔穿刺:確定診断は胸腔穿刺による胸水の性状(滲出液、漏出液、血液、乳糜)による。

3)胸水検査:採取された胸水は細胞数(細胞学的検索)、蛋白、糖、 LDH、pH、細菌学的検索などを行う。

4)原因疾患の診断を含めてCT検査が有用である(悪性腫瘍との鑑別など)。


2……治療

1)膿胸に対しては抗生物質の投与と胸腔ドレナージが必要である。

2)全身管理:適切な輸液を行う。呼吸困難、低酸素血症を認める場合は酸素投与、さらに呼吸不全の強い場合は人工呼吸管理が必要となる。

3)胸腔ドレナージ:第5、6肋間中腋窩線または第7肋間後腋窩線上の肋骨上縁を局所麻酔し、皮膚に小切開を加え、トロッカーカテーテル(アーガイル社、16~20 Fr)を穿刺・挿入する(未熟児・新生児では24G静脈留置針)。ドレーンはディスポーザブルのドレーンバッグなどに接続し、低圧持続吸引(10~15 cmH20)を行う。

4)抗生物質の投与:起因菌が判明するまでは黄色ブドウ球菌を考慮した強力な抗生物質投与を行う。起因菌が同定されれば、薬剤感受性より適切な抗生物質を選択する。

5)血胸の場合は原因疾患の治療が優先される。出血が持続する場合は外科的処置が必要となる。また、出血量の多い場合は輸血も必要となる。

 

入院治療中の観察のポイント

胸腔ドレナージの管理

 ①持続吸引中は排液が適切に行われているかどうかに注意を払う。胸腔内圧を陰圧に保つためにチューブの折れ曲がりや吸引圧に注意し、胸水の流出状況に注意する。チューブ先端の中の水面が呼吸に応じて上下するよう常に気をつけて管理することが重要である。また、排液の量(血胸では出血量)・性状に注意する。

 ②合併症として、肺損傷、胸壁の出血、チューブの閉塞による状態の悪化、皮下気腫などがあるので呼吸状態・全身状態に注意する。

 ③小児は体動か激しいので固定をしっかり行う。ドレーンの接続部の抜去は時として致命的であるので充分注意すること。


バイクルサインのチェック

  呼吸・心拍モニターの利用、バルスオキシメーターによる酸素飽和度の測定などを行う。