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小児の鉄欠乏性貧血の診断と治療

 鉄欠乏のために血色素合成の減少した状態で、小児の貧血のなかでもっとも頻度が高い。おもな原因は、鉄摂取不足および成長による鉄需要の増加である/慢性炎症や消化管出血、月

経異常などが関連していることもある。軽度の鉄不足では貯蔵鉄があるため、貧血は起こらない。急速な成長のみられる生後6か月から2歳と、思春期(特に女性)に多い。なかでも、

思春期の激しい運動をしているスポーツ選手に多い。貯蔵鉄が少ない未熟児や多胎出生児にも起こりやすい。

1……診断

1)症状

 軽度の鉄欠乏性貧血は無症状で、乳児検診や学校検診において自覚症状がない状態で発見されることが多い。中等度の貧血で、顔色蒼白、体動時の易疲労性、全身倦怠、頭痛などが出

現し、貧血がさらに進行すると、頻脈、動悸、心不全が現れる。

2)検査所見

 小球性低色素性貧血が認められ、血清鉄、血清フェリチン(貯蔵鉄の指標)の低値、鉄結合能の増加、鉄飽和度の減少がみられる。

2……治療

 鉄剤の経口投与。鉄として2~6 mg/kg/日、2~3回/日。空腹時投与がよい。治療が有効な場合は1~2週間で網状赤血球が増加し、血色素も徐々に回復する。血色素が正常域に達し

たのち、貯蔵鉄を補充する目的でさらに1~2ヶ月続ける。

 何らかの理由で経口摂取ができない場合は、鉄剤の静脈内注射をする。

 治療に対する反応が悪い場合は、鉄の吸収不全(ミルクアレルギー、トラッスフェリン欠乏症、炎症性腸疾患など)の可能性を考える。


病歴聴取のポイント

○鉄の摂取状況を把握する:乳児においては離乳食の内容、人工乳栄養か母乳栄養かをたずね、思春期女性ではダイエットをしていないか、鉄分の多く含まれている食材を摂取している

かをたずねる。食習慣が再発を招きやすいので、本人・親ともに栄養指導を徹底する。


○鉄の喪失状況を知る:消化管出血、消化管感染症の合併をチェックする。思春期では、激しい運動をしていないか、女性では生理出血の程度をたずねる。


 治療中の指導のポイント
○正しい服薬指導をする:食事との時間的関係を守る。茶、紅茶、コーヒーと一緒に服薬しない。ビタミンCは鉄の吸収をよくするので、たとえば、オレンジジュースなどと一緒に内服

するとよい。

○鉄剤内服で便性状の変化(下痢、便秘、黒色化)の可能性を伝える。


aその後の入院治療中の観察のポイント

自己免疫性溶血性貧血での輸血では、自己抗体の存在のために血液型判定が困難なことがある。その場合は、主交差試験でもっとも反応が少ない血液を選ぶが、輸血中の副反応の出現に

充分注意する。

摘脾した児における電撃性敗血症の可能性について充分な教育をし、発熱の際にはかがちに病院を受診するように指導する。