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特発性血小板減少性紫斑病を徹底解説

                    
 血小板が末梢血液中で免疫学的機序により破壊され、その寿命がきわめて短くなり血小板減少をきたした状態。経過から急性と慢性(6ヶ月以上血小板減少が続く状態)とに分けられる。小児では急性が70~80%以上と多い。先行感染や薬剤など、誘因が特定される場合は続発性血小板減少症という。


1……診断

1)症状

 点状、斑状出血斑、鼻出血、歯肉出血が多い。きわめてまれ(0。5~1%)であるが、重篤な臓器内出血(頭蓋内出血など)の合併もある。

2)検査所見

 血小板減少、出血時間延長、凝固時間正常、血小板関連lgGの上昇、骨髄巨核球数の増加がみられる。

2……治療

 診断時の血小板と症状に応じて治療する。血小板数2~3万/μ/以下で粘膜出血のない場合は、原則としては無治療による外来経過観察にする。なぜなら、多くは急性の経過をたどって自然治癒し、頭蓋内出血などの重篤な合併症もきわめてまれであり、また投薬によって慢性型への移行を阻止しないからである。


1)入院適用

 a)血小板数2~3万/μl以下

 b)血小板数2~3万/μl以上で粘膜出血(鼻出血など)のある場合

2)治療適用

 a)臓器内出血症状がある場合

 b)血小板数1万/μl以下で少しでも出血症状がある場合

 c)血小板数2万/μl以下で粘膜出血症状がある場合

3)治療

 a)副腎皮質ステロイドホルモン投与(プレドニゾロンを1~2 mg/kg/日を2~3週間内服、またはメチルプレドニソロンを30mg/kg/日×5日、静脈内投与)

 b)ガンマグロブリン大量療法(400mg/kg/日×5日または1g/kg/日×1~2日、静脈内投与)

4)摘脾の適応

 数年以上の経過をたどり、各種の治療に不応性かつ6歳以上の児で、血小板が1~3万/μ/以下で出血症状をともなう場合。摘牌の効果は70%前後。長期観察中にゆっくり改善する例もあり、適応については慎重に判断する。

5)血小板輸血

 a)重篤な出血症状がある場合

 b)摘牌手術中

6)経過

 6ヶ月後で寛解状態(血小板数15万/μ 以上)は約70~75%。残りは、再発型または慢性型。

 

入院時の病歴聴取のポイント

○先行感染の有無、病状経過をたずねる。 


出血症状が持続する時期の観察のポイント

○出血が持続する場合は、止血の処置と同時に脈拍・血圧を頻回に測り、循環動態を把握する。

○重篤な出血症状(突然のショック状態や痙攣、意識異常、視力減退、激しい頭痛、大量の吐血、下血)の兆候が現れたら、すみやかに医師に連絡をする。

O鼻出血に対する処置として、鼻根部を強くつまみ、冷却して、 5000倍のエピネフリンをひたしたスポンゼルをつめる。後咽頭への出血の持続にも注意して観察する。また、咽頭に流れた血液を飲み込まないように指導する。

O思春期以後の女性の場合、生理出血量を観察する。

aその後の入院中の観察のポイント

1)出血の予防

O採血部位は必ず圧迫止血を充分に行い、止血を目で確認する。

O下着・病衣のゴムはきつくないように指導する。

O安静を保てるように床上での生活を工夫する。転倒・転落に防止する。乳幼児ではベッド柵を必ずつける。

O歯ブラシは柔らかいものを使用し、歯ぐきを剌激しない。

O原則としてアスピリンなどの血小板機能を抑制する鎮痛解熱剤を用いない。

O排便は強く怒責しないように指導する。

2)敗血症の予防

 摘脾した児については、細菌感染にともなう敗血症の可能性について充分教育する。摘脾前には肺炎双球菌ワクチン摂取をすることが望ましい。