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血友病:第VⅢ因子欠乏の血友病Aと第IX因子欠乏の血友病B


 X染色体長腕上に位置する第VⅢ因子、第IX因子遺伝子自身、またはその調節遺伝子の欠陥に基づく凝固因子の量的・質的異常である。おもな病型は、第VⅢ因子欠乏の血友病Aと第IX因

子欠乏の血友病Bの2つである。伴性劣性遺伝で、男性に限って発病する。これを父親にもつ女性は全員保因者である。活性が1%未満のものを重症、1~5%を中等症、5%以上を軽症と

分類する。

1……診断

1)症状

 新生時期に頭蓋内出血、帽状腱膜下出血、臍帯出血をみることがあるが、むしろ生後1歳ごろから発症することが多い。出血は皮膚、粘膜、臓器内、関節内に起こる。なかでも関節内

出血が特徴的で、足、・膝、肘関節が多く、腫脹、疼痛をともなう。出血を繰り返すと関節変形をきたす。出血症状は凝固因子活性と外傷の程度に影響される。

2)検査所見

 プロトロンビン時間正常、部分トロンビン時間延長、血小板数正常。血友病Aでは第VⅢ因子凝固活性の低下、血友病Bでは第IX因子凝固活性の低下。血友病Aはフォンウィレブランド

病との鑑別が必要である。

2……治療

1)欠乏因子の補充。投与量と間隔は重症度に依存する。理論的には第VIII因子は、 1U/kg投与により約2%の活性上昇、第IX因では、 1U/kg投与により約1%上昇する。凝固因子製剤

投与による副作用は、アレルギー様反応、肝炎、HIV感染、インヒビターの発生、溶血性貧血、血栓症などがある。過去の製剤によるHIVC型肝炎の感染は大きな社会的問題になって

いる。

2)軽症・中等症の血友病Aの軽度の出血に対しては、抗利尿ホルモン製剤であるデスモプレシンの緩徐な静注(0。2~0。4μg/kg/生食20ml/30分)も有効である。


入院時の病歴聴取のポイント

○家族歴を詳しく聴取する。

○出血の部位、程度、反復歴をたずねる。

観察のポイント

○出血症状を観察する出血の徴候を認めた場合は、医師や看護婦に連絡するように指導する。また、局所的な止血法(出血部位を心臓より高くあげ、10~15分圧迫固定)を本人に説明をす

る。

○出血性関節症とその後遺症を予防する。関節の出血に対して局所の安静を保ち、急性期を過ぎたら運動療法を受ける。関節の可動域を評価する。

退院指導のポイント

○日常生活での出血予防を指導する。

 ①関節に負担がかかる激しい運動や肥満を避ける。
 ②口腔衛生を保ち、柔らかい歯ブラシを利用する。
 ③鋭利な道具の使用には留意する。
 ④アスピリンなど抗血小板作用のある鎮痛解熱剤は原則として使用しない。

○凝固因子補充は、年長児では自己注射、年少児では家族により注射することがある。適切な静脈内注射の手順が守られているかを確認する。

血友病の患者のQOLを改善するために、関連各科の医師(小児科医や内科医、整形外科医、リハビリテーション医、歯科口腔科医)、看護婦、臨床心理士、医療相談士などが協力して

包括的に取り組む。