思春期早発症・思春期遅発症


 日本の多くの子供たちは、男児9歳~14歳、女児7歳~13歳に思春期が発来する。思春期が発来すると二次性徴が出現し、身長伸び率が増加し、骨年齢の進行が速くなる。なお、最近の日本の女児の平均初経年齢は12歳3ヵ月位である。

思春期早発症

 思春期早発症とは、①男児9歳・女児7歳以前に思春期が発来した場合か、②にの年齢以降でも、)二次性徴と骨年齢の進行度が速いために成人身長がきわめて低くなる可能性がある場合である。性ホルモン分泌調節機構である視床下部・下垂体と性腺に分けて原因を整理する。原因に関係なく、思春期旱発症にみられる共通の問題点は、同年齢の友達と違う体型(女児は月経の処理)になる悩みと、早く骨年齢が成人化(=骨端線が閉鎖)して成人身長が低くなる可能性があることである。

A 特発性中枢性思春期早発症(視床下部性?)

B 視床下部・下垂体病変によるもの
 先天性:先天性水頭症、先天性脳奇形など
 後天性:hCG分泌腫瘤などの脳腫瘤、水頭症、脳炎・髄膜炎など

C 性腺病変によるもの
 先天性:LH受容体異常症、マックーン・オルブライト症候群など
 後天性け生腺腫瘤(性ホルモン分泌腫瘤)

D その他の病変による影響

 甲状腺機能低下症

 副腎皮質過形成(単純男性型の男児、副腎由来の男性ホルモン過剰)

 副腎腫瘤(性ホルモン分泌腫瘤)

 頭部以外の部位のhCG分泌腫瘤

hCGはLH様の作用があるので、 hCG産生腫蕩は性腺を刺激する。

思春期遅発症

 思春期遅発症とは、男児15歳・女児14歳で二次性徴の出現がない場合である。原因不明の特発性思春期遅発症は、おくて過ぎる状態であり、思春期は自然に発来し、人生に困ることはない。


思春期早発症

 診断は、性腺刺激ホルモン(LH、 FSH)と性ホルモン(テストステロン、エストラジオール)の血液中濃度測定、 MRIや超音波エコーの画像診断などにより行う。最も多いのは、原因不明の特発性中枢性思春期早発症である。 治療は、発見された基礎疾患に対する治療と、性ホルモン分泌を抑制する治療(LHRH誘導体、シプロテロン酢酸エステル、黄体ホルモンなどの中から選択)とからなる。特発性中枢性思春期早発症で、体型の違い(女児は月経の処理)が気にならず、成人身長が低くなる可能性がなければ、治療をせずに経過をみる場合もある

思春期遅発症

 思春期早発症の場合と同様に、診断は性腺刺激ホルモンと性ホルモンの測定や画像診断などにより可能である。

 治療は、基礎疾患に対する治療と、性腺機能低下症があれば性ホルモン補充療法(病変部位により、 LHRH脈動的投与、 hCGとhMGの併用療法、性ホルモン投与の中から選択)が行なわれる。

病歴聴取のポイント

o思春期早発症では、二次性徴出現による体型の変化に気付いた時期や身長増加率が大きくなった時期の確認が重要である。母子手帳や幼稚園・学校の身体測定の記録をもとに、成長曲線を作成することは有用である。また、家族内で体質は似るので、両親・同胞の二次性徴出現の時期についての情報も有用である。中枢神経系疾患などの既往歴も確認する。

o思春期遅発症でも、成長の記録、両親・同胞の二次性徴出現の時期、中枢神経系疾患などの既往歴の聴取は重要である。ほかに、嗅覚低下の家族歴がないかも問診する。

その他の看護のポイント

o診断のために、いくつかの内分泌学的検査と、 MRI・CT・超音波エコーなどの画像診断が必要となる。検査に対する患児と保護者の不安感が少しでも和らぐように工夫する。

o思春期早発症は、低年齢の時には高身長で体格が良いために、保護者が病気であると気付きにくい。そのために病院受診が遅れる場合が多く、保護者の自責の念は深い。また、思春期遅発症では、患児自身と保護者がしばしば低身長で悩んでいる。どちらの疾患においても、“こころ"の悩みへの配慮が大切である。