インスリン依存型糖尿病(IDDM)とインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)

インスリン依存型糖尿病(IDDM)

 自己免疫機序によって膵ラングルハンス島のβ細胞が破壊され、インスリン分泌が低下して高血糖となる。臨床症状としては多飲・多尿から始まり、全身倦怠・体重減少を経て、脱水、ケトアシドーシス、糖尿癇性昏睡にいたり、治療が遅れると生命に関わる。

インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)

 いわゆる成人型糖尿病であり、インスリン作用の相対的不足によって高血糖となる。肥満をともなっている例が多い。

1……診断

インスリン依存型糖尿病(IDDM)

1)上記の症状と、高血糖(200mg/d/以上)、尿糖、尿ヶトン体陽性があれば糖尿病と診断できる。経ロブドウ糖負荷試験(OGTT)が必要となることはほとんどない。

2)血中ヘモグロビンAle、フルクトサミン:前者は検査前約1ヶ月間、後者は約2週間の血糖の状態を反映して上下する。

3)血中C-ペプチドや自己抗体(ICA、抗GAD抗体など)の測定が、 NIDDMとの鑑別に役立つ。

インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)

 学校検尿などで偶然発見されることが多く、無症状のことも多いため、OGTTなどを行って診断する。

2……治療

インスリン依存型糖尿病(IDDM)

1)急性期の治療

 ケトアシドーシス、糖尿癇性昏睡に対しては緊急治療が必要である。重度の脱水に対して大量輸液を行い、同時にインスリンを静注・点滴して血糖を下げる。この間心電図モニターが必須である。

2)その後の治療

a)在宅インスリン療法:インスリン製剤を1日2~4回、自宅で皮下注射する。簡易血糖測定器を用いて1日数回血糖を測定し、その結果にしたがってインスリン注射量を自分で調節できるように教育する。

b)食事療法:基本的な考え方は以下のとおりであるが、個々の患児の実状に応じて調整する。

 ①成長発育に必要なエネルギーを与えるため、食事量は健常小児と同等にする。
 ②糖質:脂質:蛋白質のカロリー比率を、50~55:25~30 : 20 とする。
 ③食事量の時間的配分を一定にする。
 ④単糖類・二糖類を避け、多糖類や食物線維の豊富な食品を摂る。
 ⑤低血糖を予防するために、食間や運動前などに間食を摂る。

c)運動療法:積極的に運動させる。運動の種類や量に制限はないが、長時間あるいは激しい運動をする時は補食が必要である。

インスリン非依存型糖尿病(NIDDM)

 ①食事療法:体重減少を目指して強力なカロリー制限を行う。特に糖質を制限する。
 ②運動療法:患児の体力や状態に合わせた運動メニューをつくって実施する。
 ③薬物療法:重症の場合、経口血糖降下薬やインスリン療法が必要となることもある。


インスリン依存型糖尿病

o血糖の自己測定、インスリンの自己注射をしっかりマスターさせる。

インスリンの注射部位が同じ所にかたまらないよう、2~3cmずつ開けて順番に打つよう指導する。透明ビニールにマジックで適度な間隔の印をつけたものを注射する場所に当てて、位置を確認するのも一法である。

o注射部位によってインスリンの吸収速度が異なる。腹部がもっとも速く、次いで上腕、大腿の順で、臀部がもっとも遅い。また、入浴などで注射部位の温度が上がっている時や運動などで血流が増加している時には吸収が速くなり、意外に早く効果が現われることがある。

o血糖コントロールの向上のためには、インスリン注射後、食事までに約30分の間隔をあけた方がよい。

o発熱などで体調を崩した時は、ストレスによって血糖値が上昇することが多い。たとえ食事が摂れなくてもインスリン注射は必要であり、中止してはならない。注射量や対処の仕方については、主治医の指示を得てしっかり教育しておく必要がある。

o入院中に低血糖症状を経験させ、自覚症状に気づいた時に適切な補食が摂れるよう教育する。

o毎年全国各地で糖尿病児のためのサマーキャンプが開かれているので、積極的に参加するよう勧める。ナースもボランティアとして多数参加していただければありがたい。


インスリン非依存型糖尿病

o肥満児にとって、長期にわたる食事療法・運動療法はつらいものであるが、栄養士と協力して根気よく指導する。

共通する項目

o患児や両親が食事のカロリー計算をマスターできるように、食事や間食の際に繰り返し練習させて覚えさせる。

O糖尿病児は虫歯や歯周病などに罹りやすいため、歯みがきの励行など口腔衛生に配慮する。

O患児・家族に網膜症・腎症など合併症のこと、また血糖コントロールの良否が将来の患児のQOLを左右することを教育する。

O思春期以降の患者には、将来アルコールは時に少量なら飲んでもよいが、タバコは絶対に吸ってはならないと指導する。喫煙は血管障害・血流障害などを起こして合併症を加速させるからである。