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ウイルソン病の治療:キレート剤、低銅食療法


 銅代謝の異常により、胆汁中への銅の排泄障害、肝でのセルロプラスミン合成障害が起こり、脳や角膜・肝・腎などに銅が蓄積する、常染色体劣性遺伝による疾患である。おもな臨床症状を以下に述べるが、小児期では肝障害が中心である。

1)肝障害

 経過は多様であるが、放置するといずれも最終的には肝硬変に移行する。また、劇症肝炎の経過をとり、急激に肝不全を起こして死亡する例もある。

2)神経症状

 思春期以降に出現することが多い。構音障害や不随意運動、振戦などが起こる。進行は緩徐であるが、放置するといずれ知能障害も起こし、また精神症状が出現することもある。

3)眼症状

 角膜に銅が沈着し、角膜周辺に青緑色の輪(カイザー・フライジャー角膜輪)力l観察される。

4)その他

 腎障害、溶血性貧血、血小板減少や白血球減少、骨のクル病様変化や易骨折性、無月経など多彩な症状が起こり得る。

1……診断

 肝機能障害に加え、血清銅・血清セルロプラスミンの低値、尿中銅排泄の増加があれば診断がつくが、はっきりしない場合は肝生検が必要となる。

2……治療

1)キレート剤

 臓器・組織に蓄積した銅を取り除き尿中に排泄させる薬剤で、食間空腹時に内服する。第一選択薬はD-ペニシラミンで著効を示すが、副作用の頻度が約26%と高いため注意が必要である。副作用としては過敏反応のほか、ネフローゼ症候群、溶血性貧血など重篤なものもある。

2)低銅食療法

 銅を多く含む食品(レバー、甲殻類、貝、豆、キノコ、コーヒー、ココア。チョコレートなど)の摂取を制限する。

Oキレート剤内服も食事療法も一生涯必要であるが、治療期間が長くなるにつれて怠薬したり食事療法を中断してしまうケースがよくある。キレート剤の内服を指示通り継続しているのは患者全体の3分の2に過ぎないという調査結果もあり、定期的な外来通院時にも、内服・食事療法について繰り返し患児・家族に教育する必要がある。食事療法は栄養士と協力して指
導にあたる。

Oキレート剤(1日2~4回)は、食後ではなく必ず食間空腹時に内服するよう指導する。