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MRS(MRスペクトロスコピー)とは


Magnetic resonance spectroscopy(MRS)は脳内の細胞障害を非侵襲的に測定できる方法であり、てんかん発作の診断法としての可能性が指摘されています。

ある種の原子核には弱い磁場(電子の数百分の1以下)を持つものがあります。現在、すでに多く用いられているプロトンやリン31以外にも人体に応用可能で有用性が期待できるフッ素19、炭素13およびリチウム9などの各種の臨床応用が試みられています。プロトンおよびリン31のMRSについて簡単に説明します。

最近ではCSIの技術の進歩で主にプロトンMRSが行われています。プロトンMRSの主なピークはコリン(Cho)、クレアチン(Cr)、およびN-アセチルアスパラギン酸(N-Acetyl asparate ; NAA)で、コリン、クレアチンは主にグリア細胞に、NAAは神経細部に存在するといわれています。側頭葉てんかんの焦点付近ではNAA(Cho+CR)が減少するといわれていて、これは神経細胞の障害およびグリオーシスを反映しているのではないかといわれています。これに加え最近では、グルタミン・グルタメートやGABAのピークについても注目されておりいくつかの報告がなされています。

一方、リンのMRSは信号雑音比(SNR)の問題や専用のコイルやソフト、装置が普及していないことなどもあり、現在、プロトンMRSほど多くは行われていませんが、生体内のエネルギー代謝において重要な役割を果たす核種であり、その状態を測定できることは脳機能を評価する上で大きな可能性を秘めています。リンMRSの主要なピークである無機リン・フォスフォクレアチン(PCr)は酸化的リン酸化においての重要な反応であるADP、ATP間の化学変化に深くかかわっています。高エネルギー物質であるPCrてんかんのフォーカスでは低下し、逆に無機リンが上昇するといわれています。

フォスフォモノエステル(PME)はフォスフォリピッドの影響を受け膜脂質の代謝に関係しているとされていますが、てんかんでは低下するという報告から変化しないという報告まであり、現在のところ定説化していません。無機リンのケミカルシフトによるpHの測定の報告も多く、てんかんは病側の上昇が報告されています。