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テルミサルタン(ARB)とラミプリル(ACE阻害薬)の優劣と発癌リスク


テルミサルタンというARBと、ラミプリルというACE阻害薬について、8542人を対象に薬の優劣を決める研究の報告がなされました。Ontarget試験と呼ばれる研究の結果です。これによると、テルミサルタンがやや血圧低下が強く出ました(上が0.9mmHg、下が0.8mmHgだけラミプリルよりも低下しました)が、56か月間の経過観察で、ラミプリルは16.5%の人、テルミサルタンは16.7%の人に、心血管にベントを生じています。つまり心血管病の抑制効果については、ほぼ同等だと判明しています。

ACE阻害薬とARBは、どちらも作用点はレニン-アンギオテンシン系の抑制ということで類似していますから、その意味でも、ACE阻害薬に組み合わせるには、利尿薬よりもカルシウム拮抗薬のほうがよいという結果はARBにも当てはめることができると考えられます。テルミサルタンとラミプリルの比較試験を副作用の観点から見ますと、咳の出現は、ACE阻害薬が約4倍多かったという結果で、血管浮腫も3倍多いという結果でしたので、やはりARBのほうがお勧めしやすいということになると思います。

ただし注意を要するのは、ARBとACE阻害薬の併用です。この組み合わせは血圧はよく下がり(ARB単独よりも収縮期血圧で2.4mmHg下がる)、心血管イベント抑制効果は同じですが、腎機能低下が進むということがわかりました。ですから、ARBとACE阻害薬の併用は、よほどのことがない限り、避けたほうがいいことになります。

2010年になって、ARBには発がんをもたらす可能性が報告され、世界中の医師が驚かされました。しかし2011年に入って、32万人余りを対象にした研究結果の報告が発表され、ARBもACE阻害薬も、発がんリスクを増加させることはないと明らかになりました。ただし、ARBとACE阻害薬の併用の場合には、発がんリスクを増加させる余地が残るとされていますので、この点からもこれらの薬の併用には注意が必要でしょう。