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痩せ薬の代償:フェンフルラミンやアンフェタミン

過去40年間にアメリカなど豊かな国々を席巻した体重の増加は、各国の国民の間に大きな健康問題を引き起こしました。体重が増えると、糖尿病、癌、睡眠障害、心臓病、高血圧など、さまざまな健康上のリスクも高まります。ありがたいことに、ほんの数キロの、つまり食習慣を改善し運動をすることで十分に維持できる程度の減量でも、健康上のリスクは大幅に改善します。

しかし、病的な肥満の人で、健康リスクを減らすために大幅な減量を行ってそれを維持しなければならない場合はどうなのでしょうか。このような努力に対しては、脳の動的平衡システムが抵抗します。体重が減ると食欲が増進し、代謝が落ちるため、大きく減らした体重を維持するのは極めて困難なのです。消化管を一部切除する手術を施す方法もありますが、リスクが大きく、高額な費用のかかることから、ごく一部の保険でしか選択されません。

この結果、製薬業界では、食事療法と運動療法を補う安全で効果的な肥満治療薬の開発努力が続けられています。

念のために補足すると、安全でない肥満治療薬はすでにあります。様々なタイプの患者で食欲を減退させ、体重を減らす薬です。アンフェタミンなど、人為的に中脳のドーパミン報酬系を刺激する薬物は食欲を減らすのに効果的ですが、依存性が強く、副作用が破壊的です。また、フェンフルラミンという薬が長い間痩せ薬として処方されてきました。この薬は弱い覚醒剤であるフェンテルミンと組み合わせて使うことが多く、フェンフェンという調剤で販売されていました。フェンフルラミンは、セロトニン・トランスポーターの働きを阻害する薬物で、シナプス前端末の細胞膜を通じて再取り込されるセロトニンを逆にシナプス間に放出させる効果があります。残念なことに、フェンフルラミンは女性で20%、男性で12%の患者で心臓弁の病気を引き起こしました。それも、服薬を止めてからずっと後になってこの病気が進行したのです。フェンフルラミンは1997年に発売中止となり、現在、製造責任を問う史上最大級の訴訟が進行中です。原告は5万人にのぼり、製薬会社ワイス社が追う可能性のある賠償額は140億ドルと試算されています。