2014-06-26から1日間の記事一覧

『膿胸・血胸』

膿胸 膿胸は胸腔内の化膿性炎症により胸腔内に膿性滲出液が貯留した状態をいう。1歳未満の乳児の肺炎から急速に進展した場合が多い。原因菌はブドウ球菌によることがもっとも多く、ついで肺炎球菌、インフルエンザ桿菌などがあげられる。結核性胸膜炎は予防…

『睡眠時無呼吸』

扁桃肥大にともなう無呼吸現象は、古典的には1892年Osierらにより報告され、その後1976年Guilleminaultらにより睡眠時無呼吸症候群として詳細な報告がなされた。当初はまれな病態と考えられていたが、次第に小児ではよくみられるものであり、死因としても重…

小児の頻脈・除脈・不整脈

小児の不整脈は、頻脈や徐脈を含めて「不整脈」として扱っている。小児の脈拍数は年齢とともに変化するだけでなく、子供の状態によっても変動する。小児心電図専門委員会のスクリーニング基準では、頻脈については、3~5歳では150/分以上、6~11歳では140/…

リウマチ熱を徹底解説

リウマチ熱は、A群β溶連菌(以下GAS)による咽頭・喉頭炎の後に発症する。 GASの菌体成分とヒト心筋の共通抗原などが知られており、発症にはGAS感染と免疫機構が関与する。家族内発生が多いこともこれを裏づける。 本症発症とGAS保有期間および感染…

起立性調節障害(OD)の診断基準

起立性調節障害(OD : orthostatic dysfunction)は、立ちくらみを主徴とする、自律神経失調に基づく一種の症候群と考えられる。小学校高学年から中学生によくみられ、発生頻度は3%~10%といわれている。 0Dの発生は、起立時の末梢血管の収縮反応が充分…

気管支喘息を徹底解説

気管支喘息の本体は、「気管支平滑筋の収縮による気道狭窄」と考えられていた。そうだとすれば気管支拡張剤がよく効き、非発作時には気管支は正常、すなわち可逆性が保たれているはずである。ところが実際には、気管支拡張剤だけでは改善しない症例が多くあ…

アトピー性皮膚炎を徹底解説

アトピー性皮膚炎は、強い痒みを特徴とする慢性炎症性皮膚疾患である。その成因については、アレルギー的機序の関係した側面と非アレルギーの側面とがある。 〔1〕アレルギー的機序 1)アレルゲン(アレルギーを起こす物質〔抗原〕) A。アレルゲンの皮膚…

蕁麻疹の症状

蕁麻疹の症状は、紅斑をともなった膨疹で痒みがあり、程度・持続時間はさまざまである。その病態は、真皮上層に存在する肥満細胞が種々の刺激によりケミカルメディエーターを放出することで始まる。ケミカルメディエーターのおもなものはヒスタミンであるが…

薬物アレルギーとは

薬物あるいはその代謝産物と、それらに対する特異抗体あるいは感作リンパ球との免疫反応によって生じる反応を薬物アレルギーという。 症状は皮膚症状がもっとも一般的だが、造血器、肝臓、腎臓、消化器、呼吸器、循環器(ショック)など多臓器に及び、全身症…

センテンスの長さについて

日本人は、センテンスがはっきり切れてしまうのを恐れた。この結果、日本人は切れんとしては続き、縷々として数ページに及ぶような文をよしとした。井原西鶴という人の文章は、多くの省略があるから、簡潔な文章の見本のように言われるが、センテンスは、板…

免疫不全症候群:X連鎖無ガンマグロブリン血症、IgA欠損症、重症複合免疫不全症、ウィスコット・アルドリッチ症候群(WAS)など

抗体産生系(液性免疫)や細胞性免疫のような、特異的免疫反応に欠陥のある疾患を免疫不全症という。免疫不全症と、食細胞や補体系のような非特異的免疫反応に欠陥のある疾患群 とをあわせて免疫不全症候群という。 症状としては、易感染性(肺炎、中耳炎)…

若年性関節リウマチの診断の手引き

若年性関節リウマチの診断の手引き 1 6週以上続く多関節炎 2 6週未満の多関節炎(または単関節炎、少関節炎)の場合は次の1項目をともなうもの a 虹彩炎 b リウマトイド疹 c 朝のこわばり d 弛張熱 e 屈曲拘縮 f 頚椎の疼痛または×線俾の異常 3…

全身性エリテマトーデス(SLE)の診断基準

1 頸部紅斑2 discoid皮疹3 日光過敏症4 口腔内潰蕩5 関節炎6 蛋白尿(1日0。5g以上)または尿円柱7 痙攣発作、または精神症状8 胸膜炎、または心外膜炎9 溶血性貧血、または白血球減少(4000以下)、またはリンパ球減少(1500以下)、または血小板…

小児の鉄欠乏性貧血の診断と治療

鉄欠乏のために血色素合成の減少した状態で、小児の貧血のなかでもっとも頻度が高い。おもな原因は、鉄摂取不足および成長による鉄需要の増加である/慢性炎症や消化管出血、月 経異常などが関連していることもある。軽度の鉄不足では貯蔵鉄があるため、貧血…

特発性血小板減少性紫斑病を徹底解説

血小板が末梢血液中で免疫学的機序により破壊され、その寿命がきわめて短くなり血小板減少をきたした状態。経過から急性と慢性(6ヶ月以上血小板減少が続く状態)とに分けられる。小児では急性が70~80%以上と多い。先行感染や薬剤など、誘因が特定される…

血友病:第VⅢ因子欠乏の血友病Aと第IX因子欠乏の血友病B

X染色体長腕上に位置する第VⅢ因子、第IX因子遺伝子自身、またはその調節遺伝子の欠陥に基づく凝固因子の量的・質的異常である。おもな病型は、第VⅢ因子欠乏の血友病Aと第IX因 子欠乏の血友病Bの2つである。伴性劣性遺伝で、男性に限って発病する。これを…

小児の白血病と悪性リンパ腫:非ホジキンリンパ腫

白血病 わが国の小児癌の約40%を占める、もっとも多い悪性新生物である。小児の白血病は97%が急性である。残りは慢性白血病であるがここでは急性型についてのみ述べる。急性白血病の約 80%が急性リンパ性白血病(ALL)、残りが急性非リンパ性白血病(…

脳腫瘍:星細胞腫、髄芽腫、脳室上衣腫、頭蓋咽頭腫、奇形腫・胚細胞腫

脳腫瘍は、白血病・神経芽細胞腫についで多い。発生頻度は年間2。5/10万人、5~10歳に多い。神経腰腫群(星細胞腫、髄芽腫、上衣腫)、頭蓋咽頭腫、奇形腫・胚細胞腫の順に頻度が高い。発生部位では正中部が多い。 1……診断 症状は腫瘍の解剖学的位置と大きさ…

抗利尿ホルモン不適合分泌症候群(SIADH)の診断と治療

種々の原因により抗利尿ホルモン(ADHまたはAVP)が不適切に持続的に分泌されるために、循環血漿量が増大して低浸透圧性低Na血症を起こす。原因として以下のものがあげられる。 ①悪性腫瘍(肺癌、膵癌など。異所性にADHを産生するため)。 ②中枢…

甲状腺機能低下症と亢進症について

甲状腺ホルモンは、全身の細胞に作用してヒトの日常生活に大きな影響を与える。特に小児においては、成長と発達に重要なホルモンである。甲状腺ホルモンにはサイロキシン(T4)とトリョードサイロニン(T3)があるが、甲状腺で合成されるものの約80%がT4で…

思春期早発症・思春期遅発症

日本の多くの子供たちは、男児9歳~14歳、女児7歳~13歳に思春期が発来する。思春期が発来すると二次性徴が出現し、身長伸び率が増加し、骨年齢の進行が速くなる。なお、最近の日本の女児の平均初経年齢は12歳3ヵ月位である。 思春期早発症 思春期早発症…

半陰陽とは:道下裂修復術と肥大陰核摘出術・膣形成術

性腺と外性器の性的特徴が一致しない状態が半陰陽である。胎児期の外性器発達には男性ホルモンが重要で、男性ホルモンが働かない状態(男性ホルモン欠損・男性ホルモン不応症)の胎児外陸器は女性型になり、胎児期に男性ホルモン過剰状態にあった女性の外陸…

インスリン依存型糖尿病(IDDM)とインスリン非依存型糖尿病(NIDDM)

インスリン依存型糖尿病(IDDM) 自己免疫機序によって膵ラングルハンス島のβ細胞が破壊され、インスリン分泌が低下して高血糖となる。臨床症状としては多飲・多尿から始まり、全身倦怠・体重減少を経て、脱水、ケトアシドーシス、糖尿癇性昏睡にいたり…

ウイルソン病の治療:キレート剤、低銅食療法

銅代謝の異常により、胆汁中への銅の排泄障害、肝でのセルロプラスミン合成障害が起こり、脳や角膜・肝・腎などに銅が蓄積する、常染色体劣性遺伝による疾患である。おもな臨床症状を以下に述べるが、小児期では肝障害が中心である。 1)肝障害 経過は多様…

先天性代謝異常症:新生児マススクリーニングの対象疾患

代謝とは、生命を維持するために体内に必要なものをとりいれ、体内で不要になったものを体外にすてることである。この過程は複雑で、いまだ不明な点が多い。 生命の維持に必要な物質にはアミノ酸、糖質、脂質、核酸、微量金属などがあり、それぞれの物質につ…

原発性高脂血症と続発性高脂血症

血液中のコレステロールやトリグリセライド(中性脂肪)が増加した状態をいう。 1)原発性高脂血症 原因疾患のないもの。家族性(遺伝性)と非家族性(散発性)に分けられる。 2)続発性高脂血症 何らかの基礎疾患に続発するもの。糖尿病、肥満、甲状腺機…

ダウン症候群:21番トリソミー(21番染色体が3本ある)

知的障害、特徴的な顔貌、筋低緊張、先天性心疾患などの症状を示す染色体異常で、21番トリソミー(21番染色体が3本ある)によって引き起こされる。ダウン症の95%は21番染色体が完全に1本多い完全なトリソミー(標準型)であるが、3%は他の染色体との転…

血管内治療のコイル塞栓術について

コイル塞栓術とは、脳動脈瘤の中に白金製の針金(プラチナコイル)を詰め込んで切り離し、脳動脈瘤内で血液を固まらせてしまうというものです。開頭するわけではなく、血管を介して脳動脈瘤の治療をする血管内治療です。 コイル塞栓術は、いわゆる心臓カテーテ…

MRS(MRスペクトロスコピー)とは

Magnetic resonance spectroscopy(MRS)は脳内の細胞障害を非侵襲的に測定できる方法であり、てんかん発作の診断法としての可能性が指摘されています。 ある種の原子核には弱い磁場(電子の数百分の1以下)を持つものがあります。現在、すでに多く用いられてい…

テルミサルタン(ARB)とラミプリル(ACE阻害薬)の優劣と発癌リスク

テルミサルタンというARBと、ラミプリルというACE阻害薬について、8542人を対象に薬の優劣を決める研究の報告がなされました。Ontarget試験と呼ばれる研究の結果です。これによると、テルミサルタンがやや血圧低下が強く出ました(上が0.9mmHg、下が0.8mmHgだ…